2015年9月22日火曜日

安保関連法案における世論調査の偏り (修正版)

寝ている間に安保関連法案が参院本会議で可決されていた。
もっと野党に粘られるかと思いきや(実際に長々演説したり、山本太郎がおかしなことをしていたりと抵抗はあったのだが)、案外すんなりと決まった模様。
野党の我が儘に付き合わされるハメになった警備員の方々等、本当にお疲れ様でした。


さて、今回は世論調査の話題。

先日、私が見物してきた新潟駅までの安保関連法案反対デモで、

「6000万人が反対している!」

などと主張していた。

根拠は、報道機関などが行った世論調査で、50%超の反対という結果を見てのものだろう。
しかし、この主張は正確ではない。

ここに、参院で採決が行われる前に、テレビ朝日の報道ステーションが行った世論調査の結果がある。
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/201509/index.html

安保法制の項目で、安保関連法案に賛成か反対かという項目を見ると、

 賛成:25%
 反対:54%
 わからない、答えない:21%

とある。
これを見ると、過半数の人間が安保関連法案に反対しているという風に思える。

ところが、ページの上の方に注目して頂きたい。
小さくこう書かれている。

【対象】1000人【有効回答率】50.7%


 有 効 回 答 率  50.7 %


少なすぎないだろうか?

他社のものや今回以外の調査における有効回答率がどの程度なのかもわからないし、そもそも何をもって「無効回答」とみなしたかもわからない。
選挙での無効票であれば、名前の書き間違いや白紙投票などがあるが、メディアが行う電話による世論調査なら間違いは訂正できるし、回答内容に「わからない、答えない」とあるので、無回答は含まれない。
となると、そもそも調査に協力してもらえなかった(あるいは電話に出なかった)人が1000人の中の49.3%=493人いたと考えるのが自然だろう。

1000人に電話をして、507人が回答したという解釈で話を進めよう。
推測統計における必要なサンプリング数というのは1500~2000とも、1000くらいで十分とも言われるが、507はさすがに少なくないだろうか?
しかも、対象者1000人の内、ほぼ半数の意見が反映されていないのだ。

また、調査対象者の属性がそもそも偏っている恐れがある。
Wikiによれば、このような電話による世論調査はRDD方式と呼ばれ、乱数計算で生じた固定電話の番号に電話をかけるというものだそうだ。
しかし、現代日本の特に若者中心の家庭では、そもそも固定電話を置いていない家もあることが想定されるが、こういった家に済む国民は調査の対象から外されることになる。
また、調査を行った時刻が明記さえていないのも問題だ。
世論調査を行う側の人間も仕事でやっていることを考えれば、実施しやすいのは平日の昼間だろう。
しかし、現代では夫婦共働きも多く、平日の昼間に回答できるのは専業主婦かお年寄りに偏る。
あるいは、平日の夜や休日にかけたとしても、そもそも電話に出るのは女性が多いのではないか(ソースはサザエさんとかドラえもんとか)。
そういった時に、性別や年齢といった属性を揃えるために、回答してもらう相手の指定などしているのだろうか?
判然としないことが多く、どうにも信用するのが難しい。


とにかく、明白であることを述べて、この話題をまとめよう。

報ステ世論調査の結果から言えるのは、安保関連法案に6000万人が反対しているということではない。
1000人に意見を聞いたところ、274人(1000✕0.54✕0.507)が反対を表明したということに過ぎないのだ。
つまり、明白に法案に反対しているのは、過半数ではなく、4人に1人程度ということになる。


そして、この主張を裏付けてくれるデータが存在する。
参院における採決の後で行われた、ニコニコアンケートだ。
http://enquete.nicovideo.jp/result/20

質問の聞き方がどうにも反自民的なのが引っ掛かり、これはこれで結果に影響するバイアスになるのだが。
ともあれ、「安保関連法案が今国会で成立することをどう思うか?」という設問の回答が以下のものだ。

 良かった:49.2%
 悪かった:27.2%
 わからない:23.6%

興味深いのは2点。
1つは、報道機関が行う電話調査における賛成・反対の割合が、ネット調査では丸っきり逆転したという点。
もう1つは、ニコニコアンケートにおける安保関連法案に反対する意見の割合は、報道ステーションの調査において実際に反対意見を表明した人の割合と一致したという点だ。

逆転現象は、やはり調査対象者の偏りが原因だろうか。
ニコニコアンケートは、調査対象者を限定したり、また逆に希望する人全てが必ずしも参加できるものではない。
アンケートは予告なく唐突に実施され、その時偶々ニコニコにアクセスしていた人の中から、参加したい人が参加する、参加したくなければ参加しなくても良いというものだ。
この方法の利点は、手間と時間をかけずに多くの人から意見を聞くことができることにある。
報道ステーションの調査における有効回答者がわずか507人だったのに対し、今回のニコニコアンケートの参加者は56394人。
100倍以上の人の意見が反映されていることになる。
一般に、推測統計は標本サイズが大きいほど誤差は小さくなるので、調査対象者が少なかった報ステのものとの比較に有意義だと言える。

ただし、ニコニコアンケートの調査方法にも問題点はある
ひとつには、有効回答率がわからないことだ。
今回は56394人が調査に参加したが、参加する機会があったにも関わらず参加しなかった人がどれだけいたのだろうか。
これはメディアの電話調査にも言えることだが、そもそも調査に参加する意志のあるなしが、結果に影響するバイアスとなってしまう。
ネット調査の場合、調査実施時点でのアクセス数を調べることはできるかもしれないが、しかしアクセスしつつ気付かなかったり、席を外していたりといった人もいただろうから、有効回答率の算出は不可能だろう。
ふたつ目の問題点は、ニコニコを利用する人というのが、そもそも属性を偏らせていることだ。
ニコニコ利用者=ネットをある程度以上に利用する人の多くは、民主党・共産党・社民党あたりが大嫌いだ。
これはネットを活用することで、サヨク仲間のマスゴミが隠そうとする野党の悪い点を知ってしまうこと、もしくはネット上におけるサヨク叩きの風土から、ネットに参加するものとして自分もサヨクには批判的にならねばという社会的役割や同調行動の影響などが考えられる。
調査参加者の多くが安保関連法案に反対している野党に対して不信感を持っている以上、安保関連法案の賛成意見がマスコミの調査より多くなるのは予想できたことなのだ。
それに加えて三点目、先にも軽く触れたが、設問の聞き方が与党に対して批判的なものだったこと。
質問文はそれ自体がバイアスを生み、与党に悪印象を抱かせようという聞き方をすれば、採点は辛口になるか、あるいは質問者の態度に反発して逆に大甘な採点をしてしまうなど、偏った結果を生じさせてしまう。
残念ながら、今回のニコニコアンケートの結果が世論を正確に反映していると主張することは難しいだろう。


しかし、反対意見の割合が、報ステとニコニコの両調査で一致したというのは面白い。
先述した「報道ステーションの調査で実際に反対意見を表明したのは27.4%に過ぎない」というのは、無効回答を無視した上での数字だ。
もしも無効回答者が単に電話に出られなかっただけだとするなら、無効回答者における反対意見の割合は、有効回答者の割合と同じになるはずだ。
にもかかわらず、無効回答者の中の反対意見を無視した「実査の反対表明割合」が、ネット調査における反対意見と一致したのは何故だろう?

考えられるのは、報道ステーションの調査における無効回答者は、偶然に回答できなかったのではなく、必然的に回答をしなかった偏った属性の持ち主であるという可能性だ。
報道ステーション=テレビ朝日と言えば、サヨク・反日メディアとして悪名高い。
そんな彼らに、電話番号を知られ、自分が右翼かどうかを試すような質問をされている。
身の安全を考えて、回答自体を拒否したということはないだろうか。
その点、ネット調査は匿名性が高く感じられるので、回答しやすいと予想される。

ここで、報道ステーションの無回答者の中に反対意見がほぼ存在しないという前提で、無回答者の意見を予測し、調査対象者全体の世論を推測してみたい。
まず、「反対」は実際に反対表明をした割合そのままで27.4%。
次に「わからない」もそのまま21%とする。
すると、残る賛成の割合は51.6%だ。
あくまで推定に過ぎない数字だが、ニコニコアンケートの結果にかなり近くなった。



テレビや新聞は連日、大規模な反対運動の様子を取り上げている。
それを見ていると、大多数の人間が法案に反対していると思い込んでしまいがちだ。
しかし、実際、自分の身近な人の意見などはどうだろう?
法案に反対している人は過半数を超えているだろうか?

新潟駅のデモを見に行った時。
普段通りに駅を利用していた人は、集会を素通りして行った。
チラシ配りなどもやっていたが、まったく受け取って貰える様子もない。
これが現実。
安保関連法案に反対しているのは、単なるノイジーマイノリティなのだ。
ほとんどの人間は、わからないとか、どっちでもいいとか、そんな風に考えている。
または、自民党の支持率が他党より圧倒的に高いことからわかるように、自民党のやることに任せているとか、信用出来ない政党が反対している法案は逆説的に好印象を持つといったところだろうか。

今法案に反対している人間は、メディアが報じるほど多くはないだろう。
しかし、現状で「わからない」という立場の人が、世論調査や法案に否定的な報道に影響されて、反対の立場をとるようになることもあるだろう。
民主党政権が樹立した時の過ちを、日本人は繰り返してはいけない。



まとめ

世論調査には様々なバイアスが影響している。
そのため、世論調査は真の世論を反映してくれるものではない。
あくまでも、「ある組織・団体が世論調査を行ったところ、その調査の範囲ではこういう結果になった」程度の参考にしかならないということを覚えておかなければならない。
自分が賛成している法案、支持している政党があっても、「世論調査で反対・不支持が多数です」と言われれば、自分の考えが間違っているのではないかと不安にもなるだろう。
もちろん自分が間違っている場合もあるので、「誰が何と言おうと自分の考えは曲げない」と固執することが良いとは言い切れない。
そういう時は、やはり一度冷静になり、世論にも自分の信念にも振り回されること無く、様々な情報に触れ、本当に正しいと自分が思うものはなんなのかを見つめていくしかない。

(それにつけても、やはり報道ステーションは最悪だ。21日の放送を久々に見たが、偏向報道をした上に新聞やテレビなどから情報を得ましょう」などと世論誘導する気まんまんだった。報道ステーションは、2ちゃんの実況板と一緒に見たほうがいい)

2015年9月18日金曜日

祝・安保関連法案可決 ~情けは人の為ならず~

安保関連法案の参院での審議がようやく打ち切られ、ほぼ全会一致(笑)で可決した。
与党が過半数を占めている以上、民主党が何らかの方法で自民党と交渉をしなければ、可決するのは分かりきっていたことだ。
自民党はよくもまぁ長々と付き合ってやったものである。

政権時に21回も強行採決をやっていた民主党なら、もっと早く審議を終わらせていただろう。
何の法案の時だったか、自民党の議員が普通に質問か何か発言をしようとしていたのに、無視して採決を始めた手際の良さには呆れ果てたのを覚えている。
民主党が自民党の話を聞く気がないのは、与党でも野党でも変わらない。
集団的自衛権の必要性は、岡田代表も野田元首相も認めているのだ。
にもかかわらず民主党が「戦争法案」と呼んで反対しているのは、単に自民党に反発したいだけに過ぎない。
議論において、何にでも反対する人間というのは、議論を深める上で一定の価値がある。
しかし、ただ反対するだけで議論をする気のない民主党には、国会に参加する資格がない。

民主党の批判を始めたらキリがない。
福山哲郎議員は「暴力的な採決」と批難したが、暴力的に採決妨害をしていた連中が何を言うかという話であり、帰化人である彼がこういうことをしていれば敵国の工作員とみなされるのもやむ無しである・・・など。
キリがないので切り上げて、改めて今回の安保関連法案の必要性について考えてみたい。



以前も述べたが、野党が指摘しているように、今法案に対する政府の説明は十分とは言えない。
結局、何故必要なのか、今必要なものなのかがはっきりしないのだ。
おそらく、必要な理由というのは複合的なモノであり、理由をひとつひとつ説明したのでは、逆に納得できなくなるものなのかもしれない。
「全体は部分の総和よりも大きい」・・・ゲシュタルト心理学の言葉である。

私が安保関連法案=集団的自衛権の容認について、その必要性をひとつ説明するとしたら。
日本と密接な関係にある国を守ることは、日本を守ることにつながる」からである。

民主党の岡田代表は、北朝鮮が米国を狙って弾道ミサイルを発射した場合、日本は集団的自衛権を行使できない現行法制では撃墜することはできず、そのために法制を改める必要もないとの認識を示した。
しかし、実際に米国が核攻撃でも受けたらどうなるだろう?
多くの米国人が犠牲になる、だけではない。
工業地域や商業地域でも破壊されれば、経済的に大打撃を受ける。
それは直接、日本企業の工場などが破壊される事態となるかもしれない。
そうでなくても米国の株価は大暴落、リーマンショックどころではない世界恐慌に陥るのではないだろうか?
世界恐慌となれば、日本でも企業は次々に倒産し、失業率は跳ね上がり、自殺者も大量に出るだろう。
また、米国が世界の警察として機能しなくなれば、ロシア・中国・中東などが支配領域の拡大を図り、第三次世界大戦勃発の恐れもある。
そうなった時、手負いの米国と戦争アレルギーの日本で、ロシアや中国の脅威から国民の命と、財産と、尊厳を、守ることができるだろうか?

と、最悪すぎるケースを想定してみたが、いかがだろう?
さすがにそこまでの事態にはならないかもしれないが、しかし最悪のケースが起こりうる可能性を過小評価し、スーパー堤防を事業仕分けしたのが民主党であり、従来の堤防が決壊したのが鬼怒川である。
最悪すぎるケースを想定し、事前の準備と、事態が起こってしまった時にどのような対処ができるのかは決めておくべきであり、それができていなかったのが阪神大震災だった。

デモに参加した不倫は文化な人は、「個別的自衛権でも日本は守れる」と言った。
確かに暴力から守るだけなら可能だろう。
しかし、日本と密接な関係にある国、貿易でも軍事力でも、相手に何か大きく依存しているものがある国が攻撃を受けた時、その余波から日本を守ることまでは、個別的自衛権では不可能である。

現代の国家は、その一国だけで成立しているわけではない。
他の国々との関係性の中で成り立っているのだ。
それは奇しくもルーピー鳩山の言葉通り、「日本は日本人だけのものではない」と言える。
例えば、日本がなけれな成り立たない国、日本が打撃を受ければ最悪破綻してしまう国というものがあるはずだ
そして日本にとっての、相手が健在でないと成り立たなる国が米国なのだ。
米国のために、集団的自衛権で米国を守るのではない。
日本のために、集団的自衛権で米国を守らなければならないのだ。

自民党は、「日本を取り巻く安全保障環境は大きく変化した」と主張している。
私は当初、ソ連崩壊によって冷戦は終結し、地球滅亡へのカウントダウンは一時停止したように思えていた。
しかし、中東ではISISが台頭し、東アジアでは中国が経済発展を背景に軍事力を強め、ロシアはソ連崩壊の混乱から脱したのか、クリミアへと勢力を拡大した。
そして、今やミサイル発射のスイッチひとつで、他国の重要地点に大規模爆撃することが可能な時代だ。
反米勢力が充分な軍事力を持って散らばっている分、ソ連と二強状態だった冷戦時代よりも危険度は増していると言っても過言ではないだろう。
「安保関連法案を今国会で成立させる必要はあるのか?」とよく疑問視されるが、じゃあ来年以降にまた考えましょうとか言っていられるほど余裕があるとも思えない。



さて、今年は戦後70年。
地元紙・新潟日報は戦争に関する特集記事を連日書き続けた。
その中で、旧日本軍の兵隊だった人にインタビューをして、「自分たちは洗脳されていた」という記事を読んだ時に、私はこう思った。
戦時中の日本人が、戦争に向かうよう国に洗脳されていたと言うのなら。
戦後の日本人は、戦争をしないよう日教組ら左翼勢力に洗脳されている。

「戦争法案反対」、「日本を戦争する国にするな」
私も新潟駅で行われたデモを見物してきたが、いやはや、洗脳とは実に恐ろしい。
先日の中国の軍事パレード、及びそれに出席したロシアと韓国の大統領を見て分かるように、日本は決して安全な環境にあるわけではないのは明白だ。
日本が戦争をする気がなくても、周辺国家には関係のない話である。
日本へ侵攻するメリットがデメリットを上回り、その必要性さえあれば、いつだって日本は他国から攻撃を受け得るだろう。
その辺り、反対派は自分たちの思想や日本の立場だけで完結していて、他国がどう考え、
どう行動するかというところまで考えることができないのかもしれない。
「戦争に行きたくない」という主張からも、その目に映っているのは自分が戦場で苦しむ光景だけで、自衛をしなかったときの自分の姿(命・財産・尊厳を奪われる)や家族・知人がどうなるかということまでは想像ができないのだろうと感じる。

日本の反戦教育は歪んでいる。
反戦の思想を全否定するわけではない。
しかし、反戦教育をするきっかけとなった太平洋戦争は不幸すぎた。
都市空爆や戦地での玉砕攻撃など、その被害は世界史上の戦争の中でも相当に悲惨なものだったのではないか。
また、戦後のGHQによる統治が悪いものではなかったことも災いしている。
結果的に日本人は、戦争をすれば悲惨な被害を受け、いっそ降伏してしまえば丁重に扱ってもらえるとでも思い込んでしまっているように思える。
だが、次の敵は多人種の入り混じった自由の国・アメリカではなく、数千万人を粛清した経験のある中国・ロシアという軍事独裁国家であることを忘れてはならない。

安保反対派をのさばらせておくと、いざ敵が侵攻してきた時に自衛のための戦争すら放棄しかねない。
これは日本を崩壊へと導く危険思想である。
言論弾圧まではできないかもしれないが、彼らの主張の問題点をきちんと指摘して、洗脳される国民を増やさないようにしなけれなならない。