28日16時
文化審議会は2017年の世界遺産登録を目指す4つの候補の中から、福岡の「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」を推薦すると決定した。
同時刻。
日テレ系列のローカル番組『新潟一番』では、県内から候補に上がっていた「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」を応援すべく特集。
佐渡から中継し、世界遺産登録を推進してきた団体の代表を呼ぶなどしていた。
しかし、16時を過ぎても連絡はなく、待っている間に他のVTRを流していたが・・・。
VTRの途中で推薦を逃したとの報が入り、VTRを中断してこれを伝えた。
翌29日
新潟唯一の地方紙である新潟日報は一面で、佐渡が世界遺産への推薦を逃したと報じた。
決定の前。
『新潟一番』は「宗像・沖ノ島と関連遺産群」に対し、今年登録された「明治日本の産業革命遺産」の多くが九州であることから、連続して九州を推さないのではという見解を見せていたが。
しかし、それを言えば佐渡金山も、産業革命遺産と印象が被るのではないだろうか?
そもそも、「明治日本の産業革命遺産」が登録されるまでの経緯(韓国がごねて、「forced to work」という表現を使わされた)を考えれば、今回、佐渡金山を見送ったのは至極妥当な判断だったと思える。
既に韓国は佐渡金山に対し、以下の様な動きを見せているのだ。
> 韓国外交省報道官は5月の定例記者会見で「佐渡鉱山の遺産群」に触れ、「日中戦争以来、約1000人程度の朝鮮人が強制労働をしたと把握している。登録推進の動きを注視している」と述べた。
> 韓国紙「文化日報」は、韓国政府関係者の話として、「日本が登録を推進すれば、『明治日本の産業革命遺産』のように外交問題になる可能性がある」と指摘している。
http://jiyusoku.jp/archives/6146
この状況で佐渡金山を推薦するわけがないと思うのは、私だけだろうか?
「明治日本の産業革命遺産」からして、今年の登録にこだわるべきではなかったと私は思う。
アウシュヴィッツのように、負の世界遺産として登録されているものもいくつかある。
しかし、「明治日本の産業革命遺産」は基本的に正の世界遺産として登録すべきもの、国民や地元の人間がこれを誇りに思うものとして登録を目指したのではないのか?
韓国にケチをつけられ、これを説得できなかった時点で、韓国を完全に無視するなり、いっそ取り下げるなりしても良かったはずだ。
佐渡金山にも、朝鮮人に限らず、強制労働が行われたという事実はある。
しかし、少なくとも現代の人間にとって佐渡金山は、江戸幕府の重要な財源となっていたものであり、地元の人間にとっては貴重な観光資源だ。
私も小学校の修学旅行で佐渡を訪れたが、砂金取り体験などができて楽しかった思い出がある。
これを安易に、負の世界遺産とされるリスクを背負って、性急な登録を目指すべきではないだろう。
佐渡金山の世界登録には、日韓関係の変化が欠かせない。
それが友好であるか、断交であるかは、佐渡には関係のない話だが。
ちなみに、今回私が応援していたのは「百舌鳥・古市古墳群」だった。
世界最大のお墓・大仙陵古墳は、何故未だに世界遺産に登録されていないのか、不思議なくらいだ。
ユネスコの調査委員が入らせてもらえないのが理由のようだが。
「世界の遺産」というより、「日本の遺産」・「天皇家の遺産」としての向きが大きいせいか。
どこかでうまく折り合えることを期待したい。